難治性下痢症診断の手引き
-小児難治性下痢症診断アルゴリズムとその解説-

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疾患各論1

難治性下痢症診断アルゴリズムの解説:
アルゴリズムに含まれる疾患の解説

Hirschsprung病

 肛門側腸管の腸管壁内神経節細胞の先天的欠如(aganglionosis)に起因し,正常な蠕動運動が不可能であるため,腸閉塞症状を生じる.腸管壁神経節細胞の欠如は,常に肛門から口側に至る肛門側の腸管に限局する.無神経節腸管の長さにより症状の程度は異なるが,新生児期には胎便排泄遅延や腹部膨満,嘔吐を認めることが多く,頑固な便秘を主症状とする.新生児期や乳児期に発症する症例のうち,短期間に下痢や腸炎を認め,endotoxic shockに移行するなど重篤な症状を呈することがある.直ちに輸液や浣腸,洗腸による腸内容物の除去を要し,症状により緊急人工肛門造設を行うこともある.