難治性下痢症診断の手引き
-小児難治性下痢症診断アルゴリズムとその解説-

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疾患各論1

難治性下痢症診断アルゴリズムの解説:
アルゴリズムに含まれる疾患の解説

ジアルジア症(ランブル鞭毛虫症)

 人畜共通寄生虫であるランブル鞭毛虫(Giardia lamblia)の感染によって引き起こされる下痢性疾患である.感染経路はいわゆる糞口感染で,ヒトとヒトの接触(oral-anal sexなどの性行為感染を含む)や食品を介した小規模集団感染と,飲料水を介した大規模な集団感染が知られている.熱帯・亜熱帯に患者が多く,流行地では小児の感染率が高い.下痢,腹痛,腹部不快感などで,細菌性やウイルス性腸炎に比較して遷延することが多く,数週間下痢が持続する.五類感染症(全数把握)に指定され,診断した医師は7日以内に最寄りの保健所へ届け出る必要がある.検便でランブル鞭毛虫の栄養体または囊子(シスト)を検出することで確定診断する.治療はメトロニダゾールが第一選択である.