ご挨拶
2024年 10月5日付で一般社団法人日本小児栄養消化器肝臓学会(Japanese Society for Pediatric Gastroenterology, Hepatology and Nutrition: JSPGHAN)の理事長を拝命しました。半世紀にわたる歴史ある本学会の舵取り役を任せていただき、大変光栄に存じるとともに、身の引き締まる思いでおります。
本学会は、小児の栄養問題や消化器・肝臓病を扱うのみではなく、こどもたちの健やかな成長と発達をサポートする日本小児科学会の分科会です。小児科医、小児外科医、移植外科医、病理医をはじめ、栄養士や看護師、企業研究者などから構成され、小児のcommon diseasesから稀少難病まで幅広く対象とし、近年著しい進歩を遂げている分子遺伝学的手法を用いた研究をはじめとした最先端の研究・診療を探究しています。
学会活動の柱の一つである診療ガイドライン・指針の作成には、多くの学会員が精力的に参画し、国内外に最新の情報を発信しています。C型肝炎母子感染、幼児・成人好酸球性消化管疾患、小児潰瘍性大腸炎、小児クローン病、小児期ヘリコバクター・ピロリ感染症、Hirschsprung病類縁疾患、新生児・乳児食物蛋白誘発胃腸症、小児消化器内視鏡、Wilson病、小児慢性機能性便秘症および特殊ミルクなど多くの診療ガイドライン・指針が作成され、小児栄養消化器肝臓疾患の日常診療に貢献しています。
また本学会では、多くの若手医師に門戸を広げるため様々な活動を行っています。年2回の卒後教育セミナーと消化器内視鏡ハンズオンセミナーの開催、若手医師の海外学会参加助成、韓国や台湾の若手医師との交流、若手優秀論文賞の表彰、および年次集会における若手優秀演題賞と「学生・研修医・専攻医セッション」創設など、若手医師の臨床スキルとリサーチマインドの向上のためのプログラムを実践しています。2014年に発足した認定医制度では、現在160名以上の認定が行われており、今後若手医師にとって大きなインセンティブになるものと考えています。
「食べること」はこどもたちにとって大きな喜びであり、「成長」はこどもの特権です。こどもを取り巻く環境が大きく変化している昨今、本学会のキャッチフレーズである「こどもたちの心とからだに栄養を」を胸に刻んで、国内外の専門医および若手医師と手を取り合い、こどもたちに寄り添い、幸せを育む学会でありたいと願っています。
令和6年10月
一般社団法人日本小児栄養消化器肝臓学会
理事長 虻川大樹